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『僕と、蚕な君』は、全56ページの短編小説です。
同書籍内に『泣けない、鈴虫』というお話も同時収録されています。
書籍コンセプト、各物語のあらすじは下記よりご覧くださいませ。
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昆虫着想小説 - the novels inspired
by insects -
生き物の生態とは面白いものだ。遺伝子には予め、あるプログラムが書き込まれていて、誕生・成長・死までの過程で、それが身体的変化や行動として表出する。個体を超えた
種全体の目的、長い進化の歴史の中でその種が選び取った“選択”をそこから読み
取ることができるのではないかと思う。
■僕と、蚕な君
世界で唯一、野生回帰能力を完全に失った「家畜化された昆虫」と言われる蚕をモチーフとするファンタジー小説。
絵を描くことに情熱を燃やし続ける少女マユ。そんな彼女から、「僕」はいつしか目が離せなくなる。寝食を忘れて描き続ける彼女に、思わず同居を提案し、奇妙な共同生活がはじまった。
彼女を中心に回り始める世界。だけど彼女は普通の人間ではなくて――。
ファンタジーでありながら、現代世界を舞台に、リアルな感情・リアルな距離を込めた物語。
■泣けない、鈴虫
雨上がりの夏の夜、駅のホームでは鈴虫が泣いている。遅延電車の待ち時間という、ふいに訪れた
エアポケットのような時間。「私」は「彼女」との歪な人間関係に思いを巡らしはじめて……
高く
擦り切れるような鈴虫の音は、次第に求愛の“必死さ”を帯びて聞こえてくる。その声に呼応するかのように、「私」の感情が少しずつ浮き上がり、やがて電車がホームにやってくる。
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